森井のコラム

2006年5月1日

はじめての上海

何年も前から一度行きたいと思っていたが、なかなか実現できずにいた上海訪問。この四月にようやく実現した。
まず、上海空港到着後、市内への移動中に新幹線を見かけた。時速約450kmのリニアモーターカーで、既に空港~上海間が稼働し、2008年北京オリンピックまでには北京まで開通する予定とのことであった。
上海市内の高速道路は東京都内同様片側2車線が多いのに対し、上海と他の都市を結ぶ高速道路は片側4車線と車線数をゆったりとってある。それにも拘らずもかかわらず、やや込み合っている。
自分の目でみる上海市内の活況は想像を遥かに超え、ほぼ市場経済によって経済は機能しているようであり、共産主義国家であることを忘れてしまいそうである。
市内にかつて多数みられたであろう低層の旧式住宅はほとんど無くなりつつあり、超高層のオフィスビルやマンションが林立しており、さらに至る所で新築工事が見受けられ且つデザインも良い。
40坪前後の高所得者や外人向けマンションが日本円換算で3,000万円からと、一般的な上海のサラリーマン所得2~3万円/月から比較すると相当高額で取引されている。
但し、国籍別給与制限が無くなったことで、外資に勤める中国人給与は20~30万円/月、中国人事業主では年収1000万円も珍しくないと聞き納得した。
上海は、国内でも突出した経済発展を持続しており、上海が稼ぎ北京が遣うと言われるほどである。
なるほど、上海から訪れた蘇州や無錫に向かう高速沿いには、中国国内はもとより各国企業の大規模工場が数多く見られる。
一方、近代的な造りの工場の合間に見られる農家集落は、数十棟単位の2~3階建てのレンガ造り住宅が中心で、地区政策なのか地区ごとに生活水準の格差があるよう見受けられた。
蘇州は東洋のベニスと言われる古都で運河が多い観光都市であり、無錫は昔、錫鉱山が有ったが掘りつくし無くなったことから無錫と名がついたようである。
それはともかく、蘇州と上海とは道路距離で200km程度しか離れていないのに、物価格差は5分の一であるという。
上海の物価は繁華街では食品など生活必需品は比較的安いものの、それ以外は東京などと比べさほど変わらない。その上、衣料品などの品質は相対的に低いことを考えると、かえって東京より割高であるといえる。にも関わらず若者相手の商店の売れ行きは良い。
また、都市間の物価格差を利用した商業の発達も経済発展に寄与しているようだ。上海の人口は定住者と出稼ぎ者を合わせ1,700万人と東京に近いことを考えると、その効果の程度にも納得がいく。

不動産については、オフィスビルの供給はかなりの勢いで増えているもののまだ不足しているが、マンションは投機目的の資産保有が多いためか空室が目立つ。
土地価格(地上権のような権利)も急騰し、全体的な不動産投資利回りは急速に低下して、これも東京と大して変わらない所まで来ているようだ。
そうなると、不動産投資を考える上では将来性とカントリーリスクのバランスをどう考えるかがポイントとなろう。
総合すると、急速に経済発展を遂げる中国は、市場経済をコントロールすることにも慣れてきており、北京オリンピックに向け国をあげて成長路線をまい進している。東京オリンピック時の東京に巨大な物量作戦を展開しているかのごとくであり、今後ますますそのその発展は勢いを増していくものと考えられる。
このままでは、アジアの拠点としての東京の行く末は安泰ではなかろうと、危惧を感じるに至った 。東京が経済拠点であり続けたる為には、インフラ・人材・安全のほか、快適で文化的に優れた都市づくりが益々重要になってくるであろう。英知を結集し百年先の理想的な視点に基づいた都市計画と、緻密な経済政策により、一層活力を拡大して行かねばならないだろう。