森井のコラム

2008年9月1日

ロシアの合頭と世界のマネーバランス

武力を背景としたロシアのエネルギー政策をみると、欧米が築き上げてきた資源開発シナリオが岐路に立たされています。
日本の商社の関連するサハリンのガス田開発権益の争奪や、グルジア侵攻によるヨーロッパへの石油供給線の破壊など武力に頼るロシアのエネルギー戦略は、ソ連時代を彷彿とさせます。

アメリカ本土で、不況からの脱出を意図したともいえる1995年以降発生したサブプライムローンをはじめとする信用創造によって急速にアメリカ経済は拡大し、その資金は世界の株価や資源価格を上昇させ世界にインフレをもたらしました。
資金の過剰流動性による金融バブルは、サブプライム問題発覚以来、金融市場の信用収縮により消滅しつつあり、急速に実物市場経済に引き戻されつつあるように感じます。
ピークから見ると原油等の資源価格は大きく下落しています。 この状況から推測されるのは、世界のマネーの行き先が定まらず、借り入れによるレバレッジを外し、現金ベースへの投資へ戻って来ていると言えるのではないでしょうか。

バブルマネーに沸いた欧米を尻目に、着々とエネルギー権益と石油供給線の奪取、更に軍備再編を進め、欧州に対するエネルギーを盾にした強硬政策への転換を着実に進めてきたロシアは、ペレストロイカ以降の国家経済再編もほぼ終局と言えるでしょう。
今後、アメリカがサブプライム問題で疲弊しているうちに、ロシアは対NATO政策を有利に進めることになりそうです。

消費拡大の一途をたどる発展途上国の経済にとって、実物経済への回帰という変化は金融に頼る先進国ほどダメージを受けないでしょう。
また、信用収縮局面も永遠に続くことはあり得ないことから、マネーは次に何処へ向かうのかが問題です。
巨大な人口を有するインドや中国を含むアジア圏の消費経済の拡大は確実であることから、行き場を失ったマネーはこの地域へ向かうことになるのではないでしょうか。
アメリカ一極集中であった世界経済は、ロシア台頭に加え急速に発展するアジアの三局へ移行しつつあります。
今後、日本はアジアの中枢基地として成熟するために、正確で使いやすい情報インフラと安心できるコンプライアンス体制の整備が求められているのではないでしょうか。