森井のコラム

2009年5月1日

回復の兆し

異変の終焉が見え隠れし始め、世界経済にやや落ち着きが感じられるようになりました。 金融市場への資本投入は徐々に功を奏し、混乱は収拾しつつあり世界のマーケットへの安心感が出てきたことで急速に金融活動が活発化してきました。
まだ、本格的な底入れかどうかは不透明なものの、これから先の大きな落ち込みは考えにくい状況といえます。
これは、世界中で枯渇した資金市場に対し、アメリカを中心として世界各国が国費投入という形で乗り切ろうとしていることで、金融市場の破綻懸念は一旦収束しつつあるからです。

その資金供給の大きな提供者として今回、共産国の中国が立役者となりました。
米国債の保有国として中国は昨年末にそれ以前の最大保有国であった日本を上回り、世界の投資家としての色彩が見えてきたばかりか、年明け以降も米国債の購入スピードは加速し、中国のアメリカ経済への関与の更なる濃密化が伺われます。
その後の中国高官の発言で、米国債の保有内容を長期債から2年債を中心に変更していくとの示唆があり、アメリカの償還義務を盾にした強烈な外交戦略が見えたかと思った途端、中国海軍の観艦式を初めて世界に大々的に公開し、国際社会への存在感を一気に高めました。
アメリカ経済を復興させ、米中の貿易を回復し、更に米国への政治的影響力を高め、資本主義経済の主導権を取ろうとする戦略が見えてきました。
日本の高度成長期やバブル崩壊、今回のアメリカ発の金融危機を含め、体系的に経済政策についての勉強を重ねながら中国は急速に手腕を磨き上げてきたように感じます。

 
今回の危機収束で発生した大きな事実として、すさまじい量の貨幣供給が今後どのような影響を及ぼすのかが中期的な視点で最も重要な事項といえるでしょう。
FRBは、米国債増発により貨幣供給を増大させ資本市場を回復させた後、需給バランス調整の果としてのインフレ発生を容認し、債務の縮小を計画しているとのFRBの高官(匿名)が発言した報道を見かけました。
 当然、まともに返済できる国債総額とは考えにくく、日本が経験した失われた十年のデフレ経済だけは避ける必要を確信しているのでしょう。

日本の不動産の動きでの最も大きなファクターは、言うまでもなくファイナンス動向ですが、急速に回復傾向にある日経株価により金融機関の自己資本比率が回復してきたことで、破綻処理が進み新規融資枠も徐々に増加し、今後一年程度でのかなりの債務整理が進むのではないかと見ています。
当然、良質の物件から底入れが進むことになりますが、海外の融資マネーの再来にはまだ時間が掛かると考えられ、回復のペースはゆっくりとしたものとなるかもしれません。