森井のコラム

2009年8月1日

国際会計基準の導入

国際会計基準の導入により、企業の資産価値に関する目が一層厳しくなっている。
近年の投資経済の拡大に伴って、様々な資産や収益力に対する詳細情報についての投資家の関心は急速に高まったように感じる。しかし、金融工学による異常なまでの投資構造の複雑化によってコントロールを失ったかのような投資システムは、サブプライム問題がきっかけでその姿が現れ、砂上の楼閣であったことが明らかとなった。
金融工学を駆使し、いわば第一次素材である投資財として不動産がその一翼を担っていたものの、それがバブルの原因であるかのような印象を与えているのではないだろうか。

90年代に陥った日本のバブル崩壊は、やはり過剰流動性の下、インフレが拡大し資産インフレが新たな資金需要を創出し、これに対して新たな経済循環が発生することで急速にその乗数効果が過大に拡大を続けた結果といえよう。
そういう意味では、不動産を触媒として利用した金融活動においては今回のバブルも似たようなところがある。
また、今回の金融バブルはCDO(※1)やCDS(※2)など理解困難な金融商品によって発生したという点は、将来においてはっきりした危機が見えない限り、経済の拡大局面では、人類は欲望を止めてまで経済にブレーキは掛けられないと言えよう。
ということで、バブルは繰り返し、貪欲な人々によってまた新たなるバブルの種が創造されていくように思うが、貪欲な経済活動が我々人類の進歩を推し進めてきたことも事実である。

今回の国際会計基準の導入は、これらの経済活動の暴走をある意味で阻止することの出来る可能性をもつシステムともいえ、また適正な成長や経済活動を健全に評価することが出来るものと成り得るかもしれない。
いわば、医療現場でのレントゲンからCTやMRIなどへの転換のように情報量が多く、精度の高い情報がタイムリーに開示され、より正しい判断が出来るようになるだろう。不動産の評価において、収益力を始めとした貢献度の低い不動産は低く評価され、優れた効用と多様性のある不動産は高く評価されることで企業の健全度を適確に把握し、最も合理的な利用や維持に役立つこととなろう。
不動産鑑定業界においても、今までに増して、より精度の高く安全な情報管理の下での評価活動が求められている。現在、進みつつある不動産価格調査への様々なガイドラインや指針の創設も含め、企業・投資家にとってより分かり易く安全な資産評価情報の提供に資することが出来るように努めたいものだ。

※1 CDO:社債や貸出債権などから構成される資産を担保として発行される資産担保証券の一種

※2 CDS:保険料と引き換えに信用リスクを移転するための取引