森井のコラム

2011年5月1日

マーケットの行方

近年、不動産価格の下落に伴った不良債権化が進んだことで多くのアセットの債務超過が発生し、リファイナンスの滞ったアセットは処分された。しかし、比較的運用状態の良いアセットは金利の支払いが滞ることもなく、リファイナンスされることが大半だ。一昔前のバブル崩壊とは全く異なり、今回の資産価値下落に伴う債権棄損による金融機関が経営危機に陥っているケースは少ない。
しかし、リファイナンスがなされることで、資産売却が進まないために物件が流動化せず、不動産価格の回復もなかなか顕在化しないと考えられるため、市況の回復にはまだ時間が必要だ。
ただ、昨年はロンドン市場の回復が始まり、ここに来てニューヨーク市場の底入れから反転がかなりはっきりしてきた。ギリシャ問題を起原としたヨーロッパ市場の金融不安をよそに、北米市場は急速に地固めが進みつつあるようだ。

日本と違い、アメリカはまだまだ人口流入が続いており、人口の構成も比較的若く人口の増加も伴っていることで、生活物資の消費は比較的堅調だ。GMなどの自動車産業の回復も堅調で、しばらく控えられていた消費が明らかに回復してきている。
世界中の金融危機にもかかわらず、アメリカは堅調な消費があることで日本とは違いデフレが発生する可能性は低いと考えられる。
このような成長傾向が持続できれば、当然世界の消費中心地としての消費もより回復し、また物流も活発化するため、世界経済の回復軌道が築かれることとなろう。また、経済活動が活性化すれば、金融市場も潤いを見せ、活発な金融取引が再現することとなろう。

ここで問題となるのが、各国が抱える国債を中心とした巨額債務で、特に日本の国債発行残高は国際的にみても巨額である。ただし、日本国債の主な所有者は、郵貯、生命保険会社、年金、国内の銀行等で、仮に売却したとしても他国通貨に換えられることはあまり考えられないので、急速な円安へ進むことは今のところ考えにくい。しかし、巨額国債の延命を許しているゼロ金利政策は、国債価格の低下が無いことが前提になっている。

一方、大きく回復軌道に入りつつある世界経済の中で、国際的に東京の不動産はボラティリティーが低いと認識されている。これを背景として日本に投資するための外国資金がかなりのスピードで準備されつつあるようだ。
 いまだ東京の不動産市場においては、流動化物件が少ないために大きなうねりは観測されていないが、外人投資家にとって追い風である円安が進んだとき、その動きは急速に顕在化する事であろう。

何れにしても、国内景気の底打ちが東京から始まってきたことで、今後の日本において経済再生を期待出来る。