森井のコラム

2013年10月1日

東京オリンピックの影響の先

2020年に決定したオリンピックに加え、アベノミクスも相まって、日本経済に対する各方面の影響は非常に大きなもにとなるものと考えられます。
特に、全国的な影響としてオリンピック後の経済の屋台骨となりうるセグメントとして、観光産業が注目されるでしょう。
2010年の世界の外国人訪問者数のトップ5は次表のとおり。(フランスが断トツの1位である)

国名 外国人訪問数① 人口② ①/②
フランス 7,680 6,279 1.22
アメリカ 5,975 31,038 0.19
中国     5,567 134,134 0.04
スペイン 5,268 4,608 1.14
イタリア 4,363 6,055 0.72
日本(参考) 861 12,654 0.07
(単位:万人、出所:日本政府観光局JNTO)


観光庁の調査によれば、訪日外国人の旅行消費額は1人当たり平均13.3万円(2010年)あるので、フランス並みに訪問者が増えれば、日本での消費が19.4兆円上乗せされるかもしれない。

2010年のわが国のGDPは総額で481.8兆円であったので、この19.4兆円は実にGDPを4%押し上げる効果を持っている。

しかも、外国人の訪日の主目的は「日本食を食べること」と「ショッピング」が常にトップ2を占めている。日本食の国際競争力の強さはミシュランガイドでも3つ星レストランの数では1位が東京、2位がパリ、3位が大阪となる。ショッピング意欲が旺盛な中国人旅行者(外国人訪問者の買物代平均4.13万円に対して、トップの中国人は8.68万円、次いでロシア人6.84万円。観光庁2010年調査)にとって消費活動は活発だ。

全国的な影響が大きな観光面での可能性は、ユネスコの世界遺産に登録されている富士山や熊野参詣道(熊野古道)に止まらずあらゆる場所に未開の観光資源が眠っている。

世界中から観光客を集めるサンティアゴの道の活況に照らせば、熊野古道を通して歩く外国人はほとんどいない。この差はどこから生じたのだろうか。

吉野・大峯や高野山を含めて考えると、大差が生まれるのは、魅力の発信と旅のインフラである。

この様な中で、観光庁において検討会が進められ多くの点での提言がなされている。




■今後求められる視点と投資活動

日本人にとっては安全という環境が飲料水としての水道水の如く、どこでも当たり前に存在すると思っている社会的な宝(世界的には有り得ない)が日本中あらゆる所や物に存在している。しかし、その宝の価値に気が付いていない。

これは、「ディスカバー・ジャパン」とでも言うべき日本文化の再発見を行うことで、最近では盆栽や焼物に見られるような無限の観光資源となり得る事となる。

外国人の視点に立った情報収集と、観光地を見て回るだけでない新たなる日本探訪の視点発案や、外国人による外国人のための観光事業の分析などにも大きな可能性が見出せる芽があると思う。

これらによって発案される新たな観光産業の進化が日本各地での大きな需要創造や産業成長につながる可能性が高い。

今までの延長線上での発想では、このような新たな文化の発見や成長は導くことが難しいため、全く新しい人材と情報源が必要となろう。

私は、国家百年の計を考える上で、前の東京オリンピック以降成長の基盤となった工業化に次ぐ産業として観光産業は熟成社会と言われ始めた日本にとって、息の長い産業革命とも言えるものとなると考えている。

外国人観光客の流入は、観光収入に止まらず新たなる文化創造を来し、これがまた新しい産業の育成に寄与する産業循環を発生させうると考えられ、人口減少と就業人口減少に悩む日本を大きく支える一つの切り札となるのではなかろうか。

個々人が、すべての環境について真摯に向き合い、気が付かなかった日本の真価に触れようとする文化形成に力を注ぎたいものです。