森井のコラム

2013年10月1日

東京オリンピックを契機に

2020 年のオリンピックは東京で開催されることが決まりました。
東京都の試算では、経済効果は約 3 兆円になり、約 15 万人の雇用が創出されるそうですが、直接使用される大会
関連施設の建設や、観客の移動、宿泊、飲食等に伴う消費に限定せず、関連施設の整備、道路、鉄道等の交通イン
フラ等を担う建設業、不動産業や観光業など、各種分野への膨大な経済波及効果を含めると、専門家の試算では
100兆円とか150兆円とかにもなるそうです。「五輪関連銘柄」の株価は上昇傾向にあり、いわゆる「アベノミクス」の第
四の矢になりました。
しかしながら、いまだ東日本大震災の復興は遅れており、オリンピックを理由に首都圏へ公共投資が集中すると、
現在でも復興事業にかかる人手不足と資材高騰にあえいでいる被災地復興がさらに遅れることが予想されます。ま
た、福島第一原発の汚染水問題も抜本的な解決策は取られておらず、放射能汚染水問題は諸外国からも懸念され
ているところです。加えて原発に変わる代替エネルギー、再生可能エネルギーの普及に対する将来的なエネルギー
政策の先行きは不透明な状態です。
そこで見方を変えて、オリンピック開催を「サステナビリティー(持続可能性)が見込まれる全国的な都市再生」を行
う絶好の機会であると捉えるべきかと思います。
東日本大震災の例はもちろん、首都直下型地震や南海トラフ地震等が懸念されている地震大国であるわが国にと
って、災害に強い街づくりは最優先されるものであり、首都圏のみならず、全国的に、新しい防災性に優れるインフラ
の整備に加えて、老朽化した既存インフラの更新や建物の耐震化を急ぐ必要があります。
また、スマートなエネルギー普及も重要なテーマです。原発に変わる再生可能エネルギーを使用した競技施設や
関連施設、交通インフラ等の建設等も課題としてあげられます。
さらに環境面にも目を配る必要があるかと思われます。多くの競技が行われる湾岸部の大規模な緑化事業の効率
的な推進や関連施設の省エネルギー化、利用者の快適性や周辺環境・コミュニティへの配慮なども求められます。
あと 7 年あります。今までになかった観点に立ち、柔軟な発想の下での大胆な公共事業の実施が、災害や社会・経
済的環境の変化にも十分耐えられ、次世代へ自信と安心を持って継承される都市を再生するものと思われます。
オリンピック開催に伴い、普通ではできない大規模かつ斬新な公共事業により、東京のみならず、日本全体が国際
競争力あふれる魅力ある国家へと再生することを期待したいと思います