森井のコラム

2016年7月26日

専門家とAIの共存

◆ 専門家とAIの共存

先日新聞紙上だったか、経理ソフトの自動化したものが取り上げられていた。
圧倒的シェアーを誇る「弥生」の牙城を揺るがしかねない存在になる可能性も出てき
た。
中小企業レベルで使用する仕分けなども含め、帳簿の自動作成機能はかなりのものら
しい。
将来失われる仕事の研究として、様々な資格業種なども取り上げられている。
基本的に、反復継続する性質を持つ事務処理では、その傾向や過去の事例分析を行っ
たり、ビッグデータの分析結果を応用するだけでなく、法令だけに止まらない規制内
容に応じて様々な作業を効率化できる。
この一定のルールに従った機能をAIにコントロールさせる事が出来るものはそれまで
人がやっていた者に成代われるばかりか、はるかにスピーディに正確化された処理を
行うことになろう。
複雑化し続ける規則は、人の頭脳における知識力や整合性確認などに大きな負荷をか
けている。
例えば、増え続ける医薬品の飲み合わせにおいては、昔は薬剤師の知識や経験に頼っ
ていたが今では多くの部分のリスクコントロールはコンピュータに成代わっていると
言っても過言ではない。
弁護士や税理士などの業務においても法令順守や税制確認などありとあらゆる分野で
のデータ解析システムが活躍しており、その利用範囲は速いスピードで拡大しつつあ
る。
囲碁や将棋の世界でも、AIが立て続けに勝っていることからしても、その勢いは留ま
るところを知らないように思え、すさまじい勢いで専門家の職業をむしばむと考えら
れる。
そこで対処すべき最も有力な手段は、AIが出来ない部分に専門家の強みを拡大しAIを
専門家の武器として利用しつつ、クライアントなどに対して進んだサービスを拡大す
る必要があろう。
AIの弱点とは何か、今のところこのデータを分析したり、規制項目の内容を順守する
ことに適している半面、想定外の事項には対処できない点や、仮説を立てることで一
気に次元の違う結論を見出すことは不可能のようだ。
専門家が長年培ってきた経験や知識から得られる様々な判断能力や、直観など高度な
専門性にかかる領域はAIには踏み込めない部分であろう。
また、データとして蓄積があまりない領域の分析や相談も、AIには弱点となる。
いわゆる誰に聞けばいいのか解り辛い、また、単独の専門性では解決できない、人間
の感情が業務遂行上関係してくるなど、人間の英知とネットワークに加え愛情とも言
える調整機能を必要とする領域においてはプロとしての生きた人間の力に頼るほかは
ないと思う。
漠然とした問題をいかに効率よく捌くか、またいかに付加価値を創造しつつプロジェ
クトを進めるかなど、複雑な問題はAIには解けない。
今後、専門家の業務は、反復継続する部分はAIに置き換わりながら、より高度化した
複雑な問題解決分野に移行して行くことになるのではなかろうか。
近年の資格試験制度やその養成課程において効率化を行った結果、各業界ともイレ
ギュラーバウンドへの対処に柔軟な若手専門家の養成力が衰えてきているように思
う。
改めて、古くより培われてきた各専門家の英知を受け継ぐだけでなく、更に進化した
優れた専門家の養成と、これらをつなぎ合わせる人脈の構築を行う事で更なる有能な
人材が生まれよう。
今まで、経済発展の過程でやや置き去りにされてきたような、直観・着想・アートと
言ったより人間的な能力こそが今後の未来を左右することになろう。